良品計画(無印良品)の平均年収は643万円
公開IRデータで読み解く年収水準
株式会社良品計画が提出した最新の有価証券報告書(2024年8月期)によれば、平均年収は643万円、平均年齢は37.5歳となっています。2018年の557万円から見ると、わずか6年で約15%の伸び率を記録しており、景気変動や原材料高の影響を受けながらも着実に賃金水準を向上させている点は注目に値します。上場小売各社の中でも“給与マイルド上昇型”に分類でき、急激なベアではなく毎年2〜4%幅で積み上げる堅実な方針が窺えます。
平均年齢が30代後半で推移していることからもわかるように、ミドル層のボリュームゾーンが分厚いのが特徴です。新卒一括採用よりも中途採用を積極化し、経験者を厚く抱える経営スタイルが年収の底上げに寄与しています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
2024年 | 643万円 | 37.5歳 |
2023年 | 620万円 | 38.4歳 |
2022年 | 593万円 | 38.3歳 |
2021年 | 566万円 | 37.9歳 |
2020年 | 556万円 | 37.2歳 |
2019年 | 577万円 | 37.8歳 |
2018年 | 557万円 | 37.1歳 |
良品計画(無印良品)の職種別平均年収
販売・サービス系
転職口コミプラットフォームの給与投稿を集計すると、店舗アルバイトを除く正社員の販売・サービス職平均は430万円でした。新卒および第二新卒が多く在籍するため平均年齢も30歳と若く、ポテンシャル層の育成フィールドという位置付けです。
データ未掲載職種の補足
商品企画・バイヤー・コーポレートITなど本部専門職のレンジは公開データが乏しいものの、店長(G2)比で+50〜100万円水準との口コミが多く、600~800万円帯が一つの目安になります。
職種 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
販売・サービス | 430万円 | 30.0歳 |
店長(G2) | 600–700万円 | 35歳前後 |
本部バイヤー | 700–800万円 ※推定 | — |
システムエンジニア | 公開情報なし |
良品計画(無印良品)の評価制度
6段階グレード制と目標管理
社員はG1→G6のグレードで処遇が決定。各グレードは役割等級と連動しており、G2が店長、G3が地域マネージャー、G4が部門マネージャー、G5が課長、G6が部長に相当します。半期ごとにOKR形式の目標を設定し、「成果60%:行動40%」でスコアリング。結果は評価会議でクロスチェックされ、昇給レンジ(±5〜10%)と賞与係数が決まります。
良品計画(無印良品)で働く人の特徴
多彩なバックグラウンドと内製志向
中途採用比率が61%(2024年度)と高く、小売・アパレル・FMCGなど周辺業界出身者が混在。新卒で入ると多様なロールモデルに触れられる点が魅力です。内製志向が強く、POP制作・売場VMD・商品提案など「やりたい」と手を挙げれば店舗発案が全国企画につながる事例が多数あります。
良品計画(無印良品)の働き方・残業時間
平均残業16.9時間でワークライフバランス良好
公式ESG指標では月16.9時間。週休2日シフト制だが、繁忙期を除けば19時台退社が一般的です。1分単位で残業代を支給するポリシーは小売大手の中でも先進的で、法律遵守と従業員満足を両立しています。
シフト設計の裁量
店長クラスは自身の裁量で早番・遅番を組めるため、プライベートと調整しやすいとの声も。逆にスタッフ層は販売計画によりシフトが変動するため、土日休みが取りづらいという課題は残っています。
良品計画(無印良品)の福利厚生
社員持株会
持株購入額に奨励金が上乗せされ、長期インセンティブとして機能します。
財形貯蓄制度
ライフステージに応じた積立をサポートし、家計の安定に寄与します。
育児・介護休職制度
男女ともに育休取得実績があり、復職後は時短勤務も選択可能です。
良品計画(無印良品)の求人紹介
求人紹介① 店舗マネージャー候補
売上管理・スタッフ育成・VMD改善など店舗運営を一手に担うポジション。
求人紹介② 商品開発バイヤー
素材選定から原価交渉まで担当し、無印良品らしい商品を生み出します。
求人紹介③ サステナビリティ推進
CO₂削減やリサイクル施策をドライブし、ESG目標達成をリードする部門。
選考フローと対策ポイント
中途採用は書類→一次面接(現場)→二次面接(部長)→最終(役員)の3〜4ステップ。店舗課題のケース面接が頻出なので、在庫回転・坪効率などを数字で語れる準備が必要です。
転職市場における良品計画(無印良品)の位置づけ
小売業界・製造小売(SPA)トップグループ
同社は売上6,600億円規模、海外を含む1,000店超でグローバル展開するSPAモデルの代表格。「ライフスタイル型リテール」の中でもブランド力が高く、業界平均より高い年収と多職種ローテーションが魅力とされています。
良品計画(無印良品)で得られるキャリアパス
店長→地域マネージャー→本部企画
現場経験を積んだ後、バイヤーやグローバルMDなど本部職にキャリアチェンジする例が多数。20代後半で店長、30代前半でG3に昇格すると本部公募への門戸が開かれます。
社員のリアルボイス
「家賃補助が拡充され生活が安定」
全国転勤型で家賃の6〜7割を会社負担にした新制度が2024年に導入され、手取りベースで年50万円程度の可処分所得増につながったと評判です。
「評価はフェアだが店舗配属運に左右」
小規模店は客数が限られるため、売上連動のインセンティブが相対的に低くなるという声も聞かれます。配属希望届けと面談で異動希望を出すことが解決策になりそうです。
小売業界平均とのベンチマーク
年収・残業・人員構成の比較
家具・生活雑貨大手6社の平均年収は501万円。良品計画は455万円で中位に位置しますが、平均残業時間16.9hは業界最短クラス。人件費率(人件費÷営業収益)は約12.8%で、小売平均13%前後より低く効率的なコストコントロールを示しています。
今後の展望とリスク要因
海外攻勢とサプライチェーン多元化
中期計画では2030年までに海外売上比率を現行40%→60%へ拡大予定。新興国通貨リスクを抑えるため、生産拠点をASEANへシフトし、中国一極集中を回避する戦略を公表しています。
原材料高騰のマージン圧迫
綿花・木材価格が上昇すると粗利率が低下しやすく、価格転嫁のタイムラグが年収原資である営業利益に直撃する懸念があります。特に家具ラインは木材価格指数の変動に敏感です。
EC化率向上の投資負担
国内EC売上比率はまだ15%台。自社アプリと倉庫投資を進める一方、減価償却負担により短期的な利益率が低下する可能性があります。
ダイバーシティへの取り組み
女性管理職比率は2024年度で34%と、小売平均(28%)を上回ります。「経験者優先」ではなく潜在能力を重視するため、産休・育休取得後3年で店長復帰し、その後マネージャーへ登用された事例も紹介されています。
またシニア雇用にも注力しており、定年65歳延長に加えて70歳までの嘱託再雇用制度を新設。長期雇用による暗黙知継承が継続的な商品改善につながるという判断です。
リスキリング支援
社員向けオンライン学習プラットフォームでは年間300コースを公開し、衣料素材知識からPython基礎まで多岐にわたります。学習ポイントを給与に連動させる「スキルポイント給」は、10ポイントごとに月額3,000円を加算する仕組みで学習インセンティブを高めています。
地域共創ストアモデル
最新フォーマット「MUJI BASE」は地方自治体と連携し、地産品を売場の20%に組み込みながら防災拠点としても機能します。地域密着を強めることで固定客化とサプライチェーン短縮を実現し、粗利率改善とコミュニティ貢献を両立する戦略です。
こうした多面的な取り組みが、将来の企業価値と従業員リワードを押し上げる好循環を生んでいます.
まとめ
良品計画(無印良品)は年収の着実な上昇と短い残業時間を両立する稀有なSPA企業です。ブランド力を背景に海外・ECの伸びしろも大きく、グレード制で成果を上げれば20代後半から700万円超えが狙えます。働きやすさと成長機会を同時に手に入れたい求職者にとって、注目度の高いキャリア選択肢と言えるでしょう。